2018/07/24 18:00:00
  • 【非正規労働者の権利実現全国会議】Q.派遣会社に契約終了したい旨を伝えても会社に伝えてくれません。

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目次************
(A)寄せられたご相談に回答しました
(B)派遣労働者の皆様へのアンケート・ネット相談の実施中
(C)非正規会議では会員を募集しております
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(A)寄せられたご相談に回答しました

【質問】
派遣会社に契約終了したい旨を伝えても会社に伝えてくれません。
仕方ないので、自分から雇用先に伝えたところ、違反だと騒がれました。

会社に行きません、というと、違法なので、損害賠償が請求される
と言われます。実際どうなのでしょうか?

正直、時給が低く、生活苦で、病院への通院をしているのですが、
治療を制限しないと食べていけません。健康を損ねてまで
派遣でいたくないです。

また低い時給で、契約書にない業務も振られます。対応している
のですが、批難され、成果を出せと言われます。数値で結果を
見せても、派遣が口出しすること自体、間違いだとパワハラ的な
発言もあります。契約終了をしたい旨を派遣会社に伝えても、
「いいから出勤してください」と言われ話を聞いてもらえません。

【回答】
相談者の方をAさんとお呼びします。

1 退職について
派遣会社を退職する場合の定めは、Aさんと、派遣会社の間の
契約(労働契約)において期間の定めがあるか否かによって異なります。

まず、Aさんと派遣会社の労働契約において期間の定めがない場合には、
Aさんは、派遣会社に対して、いつでも退職の申し入れができ、
申入日から2週間経過すると、退職の効果が生じます(民法627条)。

次に、Aさんと派遣会社の労働契約において期間の定めがある場合
には、やむを得ない事由があれば、直ちに退職することができます
(民法628条)。

そして、やむを得ない事由には、疾病のため治療が必要なことも
含まれると理解されていますので、Aさんの場合も、やむを得ない
事由に該当する可能性があります。

また、Aさんと派遣会社の期間の定めのある労働契約が1年を
超えている場合には、契約の初日から1年を経過すると、専門的知識が
あると厚労大臣が指定する一定の職種を除き、いつでも退職すること
ができます(労働基準法附則137条)。

したがって、この場合、退職にやむを得ない事由は不要です。
そして、Aさんが派遣会社を退職すると、労務を提供する義務は
なくなりますから、派遣先に出社する必要はなくなります。

なお、Aさんの相談内容を拝見すると、派遣会社は、出勤を促すだけの
不適切な対応ですので、後日、退職の意思表示をしたか、いつしたか
等についてトラブルになる可能性もあります。

余計なトラブルを避けるためにも、退職の意思表示は、口頭ではなく、
文書やメール等で行うことをお勧めします。また、失業保険による
給付は、自己都合退職の場合、3か月間制限されますので、
念のため、ご留意下さい。

2 有給休暇の取得
派遣会社との契約が、期間の定めのない場合はそうですが、退職の
意思表示をしてから現実に退職できるまで、一定期間が必要です。
そのため、メールにある事情から、その期間出社することが厳しい
ということであれば、有給休暇を使ってその期間を過ごすことが
考えられます。

有給休暇は、同一派遣会社で6か月以上勤務し、全労働日の8割以上
出勤した場合に、10日間与えられます(さらに勤務継続期間が
増えると日数も増えますが、割愛します)。派遣労働者も
当然有給を取得することが出来ます。

そして有給休暇を付与する責任は、派遣会社にありますので、
派遣会社に有給休暇を取得する旨伝えてください。また、退職が
前提の場合は、有給日を変更するいわゆる時季変更権の行使が
出来ないと理解されていますので、派遣会社に退職前に有休を
使うのは困ると言われた場合でも、休むことができます。

3 損害賠償請求するという点について
まず、期間の定めのない場合や、労働基準法附則137条を適用
できる場合には、退職したことを理由に損害賠償をすることは
出来ません(仮に損害賠償を請求されたとしても、そのような
請求は認められません)。

次に、労働基準法附則137条を適用できない期間の定めのある
労働契約の場合は、退職事由が当事者の一方の過失によって
生じたときは、相手方に損害賠償をする義務があるとの規定が
あります(民法628条)。

もっともAさんの場合、相談内容に挙げられている事情を
前提としますが、結論として、損害賠償をする必要はないと
思われます。

派遣法により、派遣会社と派遣先との間では、労働者派遣
契約を締結しますが(派遣法26条1項)、その際に、派遣労働者が
従事する業務の内容を定めなければならないとされています。

また派遣会社は、派遣労働者に対して、上記内容を伝えなけ
ればならないとされております(派遣法34条1項2号)。

そうしますと、派遣会社としては、Aさんの使用者として、
また、労働者派遣契約の一方当事者として、Aさんが従事する
業務内容を定め、それを派遣先に求めることができますが、
メールにある事情からしますと、派遣会社は、派遣先において
派遣労働者が従事する業務以外の業務に従事させていることを
知りつつ特段の措置をしていないと推測できますので、
派遣会社の対応には問題があり、これを理由に退職しても
一方の当事者に過失があるとは言えません。

4 以上のことを前提に対応してみてはいかがでしょうか。
また、自分一人で対応するのが難しい場合は、弁護士に依頼する
方法もあります。その場合、一定の条件がありますが、法テラスを
使うことにより、比較的廉価で、かつ弁護士費用の分割払いを
することもできます。必要があれば、ご検討下さい。

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(B)派遣法改正から3年、派遣労働者の皆様へのアンケート・ネットを実施中

アンケート・相談窓口はこちら↓
http://haken2018.hiseiki.jp/

2015年9月に派遣法が改正され、大きく制度が変わりました。
今年10月には、改正派遣法施行から3年を迎えますが、
今の職場でこのまま働けるのか、突然派遣先から切られてしまわないか、
派遣先に直接雇用してもらえるか−。

そのような疑問を一度、弁護士や学者にぶつけてみませんか? 皆様の
ご相談をお待ちしております。また情報の拡散にも、ぜひご協力ください。

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(C)非正規会議では会員を募集しております

非正規会議は、調査・研究とその交流、立法・制度案、
法的救済策の検討、情報の提供・普及・広報などの活動を
通じて非正規労働者の雇用と暮らしの質を高め、権利の
実現に貢献することを目的として、研究者・法律実務家
などを中心に活動しています。

当会の活動趣旨にご賛同いただける会員を募集しております。
詳細・お申し込みは下記ページをご覧ください。

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非正規労働者の権利実現全国会議(略称:非正規会議)
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