2018/03/13 18:30:00
  • 【非正規労働者の権利実現全国会議】Q.部署が変われば同じ企業で働けるのでは?

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目次************
(A)寄せられたご相談に回答しました
(B)派遣労働者の皆様へのアンケート・ネット相談の実施中
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(A)寄せられたご相談に回答しました

【ご質問】
100%子会社の派遣会社に登録して2016年8月まで働いて
おりましたが、会社が存続できないとの理由で親会社である
X社という派遣会社に全員転籍(?)となりました。

X社との雇用期間は1年4か月です。X社では、3年ルールで
同じ企業には勤められないと聞きました。ですが、部署が
変われば、同じ企業で働けるのではないでしょうか?

(回答)
[結論]
同じ派遣会社に雇用され、同じ派遣先企業でも働き続けら
れる可能性はあります。

[制度の説明]まず、あなたのような派遣労働者の派遣労働
期間の制限について、2015年に改正された派遣法は、
2つの規制を設けています。

(1)派遣労働者個人単位の期間制限
(2)事業所単位の期間制限

あなたのご質問に直接関係しそうな、(1)派遣労働者個人
単位の期間制限について説明します。

これは、一人の派遣労働者が派遣先の同じ組織内の業務に
つけるのは3年まで、というルールのことをいいます。
あなたのご質問にあった「3年ルール」とは、このことを
念頭に置いていると思われます。 

同じ組織内の業務かどうかは、一応、いわゆる「課」や
「グループ」など(一般に「係」よりも大きい単位)が
異なるかどうかがひとつの目安として考えられています。

もっとも、同じ組織内の業務かどうかは、「課」や
「グループ」などの名称にとらわれず、業務としての
類似性や関連性と、組織長の業務配分や労務管理上の
指揮監督権限を考慮して実質的に判断されます。

例えば、派遣先がある派遣労働者Aさんを3年間、ある
事業所の営業1課で使用した後、営業2課という名称だが、
業務内容などは全く同じ課で引き続きAさんを派遣労働者
として受け入れた場合、形の上では別の「課」ではある
ものの、業務内容は全く同じであり、実質的にみれば
同じ組織単位に所属していることとなります。
したがって、この例では、労働者個人単位の期間制限に
違反するということになり、Aさんは営業2課の派遣社員
として働くことはできないということになります。

もっとも、同じ組織内かどうかは、部署などの名称に
かかわらず、上記の様に業務内容等により実質的に判断
されることになりますので、同じ企業で派遣労働者として
働けるかどうかはこれらの事情により変わりうる、
ということになります。

[ウチの会社だけ適用がないという独自ルールはある?]
「X社は、3年ルールで同じ企業には勤められないと聞き
ました」という点ついても説明します。

先ほど説明した(1)派遣労働者個人単位の期間制限は、
派遣法で定められているものです。「ウチの会社には
適用がない」という「独自ルール」はあり得ません。
どの会社でも一律に適用されます。ですから、X社が
どういった態度でも、派遣法にしたがい、部署が変わ
れば同じ組織内の業務といえず、同じ企業で派遣労働者
として働くことができる可能性がありますので、
ご安心ください。

[どこから3年を数えるのか?(起算点)]
以前の子会社から、X社へ転籍されたとのことで、3年の
期間制限が、いつから数えて3年なのかという点についても
説明します。

「転籍」とは、元の企業(今回は100%子会社の派遣会社)
との労働契約が終了して、新たに他の企業(今回はX社)
との契約関係に入ることをいいます。
このような「転籍」によりあなたを雇用する派遣会社に変更が
あった場合でも、3年の期間制限は、派遣会社ではなく派遣先
に着目します。

ですから、派遣会社の変更は考慮せず、同じ派遣先へ派遣され
ている期間を数えることになります。

I:100%子会社の派遣会社と転籍後とでは派遣先に変更が
なかった場合改正法が適用される2015年9月30日以降で、
最初の契約に基づいて派遣された日(おそらく子会社との
契約)から数えて3年ということになります。

II:転籍で派遣先に派遣先の変更があった場合
転籍があった2016年8月以降で、最初に締結した契約に
基づいて現在の派遣先に派遣された日から数えて3年と
いうことになります。両者で、期間制限の抵触日が異なる
ので、ご注意下さい。

[部署異動がなかった場合]
とはいえ、仮に部署異動をしてもらえなかった場合、派遣
会社はあなたを3年を超えて同じ派遣先には派遣することは
できないのが原則です。

もっとも、派遣会社とあなたの契約が3年で終了するわけで
もなければ、3年を超えて締結することが妨げられるわけ
でもありません。新しい派遣先での就労の途が閉ざされた
わけではないことはご留意下さい。

また、あなたが3年間同じ派遣先に派遣されていて、継続して
働くことを希望している場合には、雇用安定化措置の対象となり、
雇用が確保できる可能性もあります。

詳しくは、『ここが知りたい! 改正派遣法Q&A』Q03-3
(P.8以下)(http://www.hiseiki.jp/file/hakenhouqanda-1607.pdf
をご覧下さい。

具体的には、派遣会社を通じて、派遣先に対してあなたを
(派遣社員ではなく)直接雇用をするように依頼すること
なども可能です。

また、派遣元に対して、期間の定めのない無期の派遣労働者
として雇用するよう申し入れることも可能です。無期雇用の
派遣労働者となると、前記の個人単位の期間制限も事業所単
位の期間制限も適用されなくなるので、部署移動がなくても
同じ派遣先で3年をこえて働き続けられる可能性があります。

そして、X社が、自社だけこの雇用安定化措置を免れる
という独自ルールを主張することもできません。ただ、
派遣先や派遣元がこの依頼を拒否する自由もあるので、
依頼の仕方などに工夫が必要ですし、期間制限を迎える少し
前に予め働きかける必要もあります。

また、無期雇用となったとしても、派遣元よりも派遣先の
方が力関係が強い場合も多く、派遣先が継続を希望しない
場合、同じ派遣先で働き続けることは難しくなります。

ですから、雇用安定化措置を求めたい場合には、どのような
措置を求めるかなども含め、ぜひあらためてご相談いただき、
詳しい事情をお聞かせください。

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(B)派遣法改正から3年、派遣労働者の皆様へのアンケート・ネットを実施中

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http://haken2018.hiseiki.jp/

2015年9月に派遣法が改正され、大きく制度が変わりました。
今年10月には、改正派遣法施行から3年を迎えますが、
今の職場でこのまま働けるのか、突然派遣先から切られてしまわないか、
派遣先に直接雇用してもらえるか−。

そのような疑問を一度、弁護士や学者にぶつけてみませんか? 皆様の
ご相談をお待ちしております。また情報の拡散にも、ぜひご協力ください。

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非正規労働者の権利実現全国会議(略称:非正規会議)
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